元祖サンタ?良い子も悪い子も大人も大興奮のシンタクロース祭に参加!

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「シンタクラース祭、聖ニコラス祭」(Sinterklaasfeest、Sint Nicolaas)/オランダ

白いヒゲに赤い服を着たおじいさんがプレゼントを持ってやってくる、そう聞いて頭に浮かぶのは「サンタクロース」。でも、オランダでは「シンタクラース」なのです。

「何それ? サンタクロースがなまっただけじゃないの?」そう思うのも無理もありません。でも、オランダ人にとってサンタクロースとシンタクラースは別人、クリスマスとシンタクラース祭もまた別物。

そして、より重要なのはシンタクラースでありシンタクラース祭なのです。

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シンタクラース祭、聖ニコラス祭の特徴

サンタクロースとシンタクラースはまったく別物と書きましたが、実はそのもとになる人物は同じ聖ニコラスです。

ただ、クリスマスのサンタクロースとシンタクラース祭のシンタクラースは、別物の別人として捉えられています。少なくともオランダ人の間では。シンタクラースは必ず黒人のお供ピートを連れているという特徴もあります。シンタクラースとお供のピートはオランダ中の子どもたちに、その年の行いに見合ったプレゼントを配ってまわるといいます。

また、クリスマスは宗教的な背景を持つお祭りです。いくら商業的・お楽しみ的イベント色が強くなってきているとは言っても、そこにはキリスト教の影響が大きく残されています。

でも、シンタクラース祭は宗教からは離れた生活や文化にもとづく祭りとして残りました。オランダでは、信じる宗教や国籍・人種などを問わず、国を挙げてシンタクラースの来訪を待ち望み、プレゼントを交換し、子どもたちはその年の自分の行いを振り返ります。

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シンタクラース祭、聖ニコラス祭の開催会場・開催日

オランダ全土がシンタクラース祭の会場になります。特に子どものいる家庭にとっては必須イベント。

シンタクラース祭は聖ニコラス祭でもあり、祝日となるのは聖ニコラスの誕生日の12月6日。ただ、祭りはもう11月からスタートしています。

聖ニコラスはスペインから船に乗ってオランダへとやってきます。11月半ば、オランダの港には聖ニコラスと大勢のお供をのせた数十隻の蒸気船が入港し、町は大歓迎の大興奮となります。

そこから、聖ニコラスとお供ピートとはオランダ中に散らばっていき、聖ニコラスの祝日の前夜である12月5日、各家庭の子どもたちが暖炉にぶら下げた靴下にプレゼントを配るのです。

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シンタクラース祭、聖ニコラス祭の歴史

シンタクラース=聖ニコラスが、貧しさのあまり身売りしなければならない状況だった3人の娘のもとを深夜にこっそり訪れ、窓から金貨を投げ入れたところ、暖炉に干してあった靴下に入ったという言い伝えがあり、これがシンタクラースのプレゼント、はてはサンタクロースのプレゼントにもつながっています。

オランダのシンタクラースがスペインからやってくるのは、その昔、オランダがスペインの支配下にあった時期があり、スペインのカトリックに対抗してオランダはプロテスタントを支持しカトリック信仰を禁止しました。シンタクラース=聖ニコラスはカトリック聖人なので、スペインからやってくるわけ。

現在の聖ニコラスの祝日は、オランダの祝日であり、子どもにとってはプレゼントをもらえる嬉しい日ですが、歴史的・政治的・宗教的背景があるために、まっすぐ楽しく祝うだけでなく、「スペインからやってくる(カトリックの)シンタクラースがお供に(悪魔のような)黒人のピートを連れてやってくるよ」「悪い子どもにはプレゼントはないよ」「悪い子はスペインに連れていかれるからね」というセリフが子どもを叱る決まり文句にもなりました。

こうして、シンタクラース祭は良い子のところには望み通りのプレゼントが、悪い子のところには物足りないプレゼントが届く日となったのです。シンタクラースは、子どもにとっては閻魔様みたいな存在なのです。

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シンタクラース祭、聖ニコラス祭のパレード

スペインからオランダの港に上陸したシンタクラースは早速街をパレードしていきます。シンタクラースは白馬にまたがり、その周囲を607人のお供たちが囲んで市内を巡っていきます。

もちろんそのお供の中には黒人のピート「ズワルトピート」も含まれていて、袋の中からジンジャーブレッドを取り出しては沿道に集まった数十万人のオランダ人たちに配っていきます。

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シンタクラース祭、聖ニコラス祭のイベント

シンタクラースの乗った蒸気船はスペインからやってくることになっています。ただ、実際のところは国家秘密。

ただ、11月にはいるとオランダの国営放送で「シンタクラース・ジャーナル」という番組が始まり、「今日、シンタクラース一行はスペインを出港しました」とか、「今日はお供のピートさんと船上電話がつながっています」といった、アップデートを紹介します。

この頃、子どものいる家庭やその親戚たちは、親たちがこっそりと秘密会議を開きます。シンタクラースとピートは忙しくてすべてのオランダ家庭を回り切ることができません。そのため、親たちが委託を受けてプレゼントを用意する決まりなのです。

会議では、シンタクラース祭を一緒に祝うメンバーを確認し、それぞれが祝いの席に参加する人数分のプレゼントを用意すること、決して子どもたちに見つからないよう隠しておくこと。プレゼントにはメッセージ代わりの詩をつけることなどが約束されます。

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シンタクラース祭、聖ニコラス祭の食べ物

シンタクラースからのプレゼントの中身はお菓子がメイン。シンタクラースを象った大きなクッキー、ジンジャーブレッドマン、アルファベットチョコレートなどが多いようです。

また、家族や親戚が集まって、得意料理を持ち寄ってパーティーを楽しんだりもします。

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シンタクラース祭、聖ニコラス祭の記念品

暖炉には聖ニコラスの古い言い伝えの通りに靴下をぶらさげて、プレゼントに備えます。シンタクラースからのプレゼントはお菓子がメインですが、オランダの子どもたちにとってシンタクラース祭は親や親戚からもプレゼントがもらえる日。どんなものがもらえるかは、やはりその年良い子だったか悪い子だったかで決まるそうです。

この辺りはクリスマスプレゼントと同じ。ただ、オランダでは12月24日のクリスマスプレゼントはありません。

また、靴も暖炉の前に並べます。その靴の中にはシンタクラースの愛馬のために、人参を入れ、近くには水を置いておきます。

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用意するもの

プレゼントをもらう側は、靴下、人参、水。

プレゼントを用意する側は、お菓子やおもちゃなどのプレゼントと詩。

このプレゼント、大人同士でも交換します。その際、相手の弱点や欠点をさりげなく指摘するようなものを選ぶとヒット。

酒癖の悪い人にノンアルコールビアをプレゼントしたり、運動不足な人にスポーツウェアをプレゼントするといったエスプリ感覚が喜ばれます。

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参加できること

シンタクラース祭は誰でも楽しめる祭りです。宗教的な縛りもなければ、国籍も関係ありません。

白人のシンタクラースと黒人に扮したピートが登場しますが、これもあくまで役割分担。そこに人種問題を吹っ掛けて文句をつける人はいません。

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一番の見どころ

シンタクラースが、限りなくサンタクロースに近いのに、オランダ人にとっては全く別物であること。そこが興味深いところです。

オランダ人たちは、「クリスマスが2回あるようなものだね」と言われると、「シンタクラース祭とクリスマスはまったくの別物だから」と言い返してきます。また、「プレゼントも2回もらえるでしょう?」と聞かれれば、「プレゼントがもらえるのはシンタクラース祭の時だけ」と答えます。それくらいシンタクラースびいきなのです。

国を挙げて、シンタクラースに熱狂する様子こそが、見どころです。

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まとめとして

現在のクリスマスは、オランダのシンタクラース祭が移民たちによってアメリカに伝えられたことがもとになっているそうです。ただ、今ではサンタクロースはしっかりと一人歩きで俗化が進み、その意味合いが薄れてきている面もあります。

その点、元祖ともいえるシンタクラースは、古き良き時代のスタイルを保つ貴重な祭りといえそうです。

オランダの子どもたちが、いえ、大人たちまでもが、「シンタクラースがスペインを出港したよ!」「モロッコに寄り道するって言っているよ。間に合うかな?」となかば本気で語り合っている様子こそが、この「お祭り」の一番の見どころかもしれません。

 

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