ローマ歴史地区、教皇領とサン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂を歩いてみた

Historic Centre of Rome

Historic Centre of Rome2

古代ローマの文化と美が凝縮 ローマ歴史地区

ローマ歴史地区、教皇領とサン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂(Historic Centre of Rome,the Properties of the Holy See in that City Enjoying Extraterritorial Rights and San Paolo Fuori le Mura)は、イタリアおよびバチカンに位置するユネスコの世界遺産です。
当初は1980年にヴェネツィア広場を中心に登録され、その後1990年には指定範囲が拡張されました。

紀元前から都市として栄えていたローマですが、このローマ歴史地区は、なかでもローマのなかのローマと呼ぶにふさわしい地区です。
一歩踏み入れれば、あちらこちらにおびただしい数の遺跡が待ち受けています。その数は本当に膨大で、とてもこのページでは紹介しきれないほどです。

今なお大都市として繁栄しているローマ市内に1,000年以上昔の建造物がいくつも共存しているという点からは、地元の人々の歴史への深いこだわりを感じられますね。

そして、ただ共存しているばかりか、ローマ人たちの精神の隅々には古代ローマの文化が今なお息づいているかのようです。
これこそが、ローマが「永遠の都」と呼ばれる所以なのかもしれません。

  

放浪者の圧倒的な世界観

10年間で7千万人が読んだ日記

放浪者~Noeの日記は「こちら

   

ローマ歴史地区の代表的な見どころ

【コロッセオ】

Colosseo

コロッセオ(Colosseo)は、ローマ歴史地区を代表する建造物で、ローマ帝政期につくられた円形の闘技場です。

長径188メートル、短径156メートルの楕円形をしており、45,000人を収容できたといわれています。また、現在では空が開けているイメージが強いですが、当時は日除けの布を張る設備もあったことがわかっており、ずっと観客に日光があたりつづけていたわけではありません。

のちに世界各地でも同様の円形の建造物がつくられていることからもわかるように、各国の文化に大きな影響をあたえたものだといえます。

構造としては火山灰を利用したローマン・コンクリートでできているのですが、特徴的なのは、鉄骨が用いられていないという点です。
コンクリートだけですから一見すると脆そうなのですが、コロッセオは度重なる災害をすべて乗り越えてきました。これは、円筒状の形をしているために負荷が分散され、力学的に安定しているからです。

かつてここでは見せ物として剣闘士同士の決闘がおこなわれたほか、剣闘士と猛獣が闘うということもありました。また、公開処刑の場としても機能していました。
死のイメージが強い場所であるため、現代のローマでは反対に、死刑廃止を訴える人々によって象徴的に利用されることも多くなっています。

【フォロ・ロマーノ】

OForo Romano

フォロ・ロマーノ(Foro Romano)も、ローマ歴史地区を代表する観光スポットのひとつです。フォロというのは広場という意味で、直訳すると「ローマ広場」ということになります。
ローマ帝政期には政治と商業の中心地でした。

西ローマ帝国の滅亡後には廃墟となり、1,400年ものあいだ土砂の下に埋もれていましたが、19世紀から発掘がおこなわれるようになっています。
ここに残された大小さまざまな遺跡群を総称して「フォロ・ロマーノ」と呼ぶことが一般的です。

フォロ・ロマーノにある代表的な遺跡には、以下のようなものを挙げることができます。

・タブラリウム(Tabularium)
……公文書を保管していた建物で、役所でもありました。

Tabularium

・コンコルディア神殿(Tempio della Concordia)
……ローマ神話の女神コンコルディアを祀った神殿です。

Tempio della Concordia

・ウェスパシアヌス神殿(Tempio di Vespasiano)
……ウェスパシアヌス帝とその息子のティトゥス帝を祀っています。

Tempio di Vespasiano

・セプティミウス・セウェルスの凱旋門(Arco di Settimio Severo)
……第6次パルティア戦争の勝利を記念して建設された門です。

Arco di Settimio Severo

・ロストラ(Rostra)
……「船首」を意味する演説用の建物です。

Rostra

・サートゥルヌス神殿(Tempio di Saturno)
……かつては国家宝物庫として使用されていました。

Tempio di Saturno

・フォカスの記念柱(La Colonna di Foca)
……東の皇帝フォカスを讃えて造られた13メートルの柱です。

La Colonna di Foca

・バシリカ・ユリア(Basilica Giulia)
……カエサルが紀元前に着工したバシリカです。現存するのは台座のみ。

Basilica Giulia

【コンスタンティヌスの凱旋門】

Arco di Costantino

コンスタンティヌスの凱旋門(Arco di Costantino)は、ローマ建築を代表する凱旋門で、コロッセオとパラティーノの丘のあいだに存在します。
白大理石をふんだんに用いたこの美しい凱旋門は、高さ21メートル、幅25メートルの規模を誇り、ローマにあるなかでも最大のものとなっています。

完成したのは4世紀のことでした。当時の西ローマ帝国副帝であったコンスタンティヌスが正帝のマクセンティウスを打ち破ったことを記念して、在位10年目の年に建設されたものです。
ただし、門の装飾品は2世紀ごろのものが用いられており、正確な建設年代には異論もあるようです。もともとあった凱旋門をコンスタンティヌスが改変しただけだという説もあります。

しかし、いずれにせよこの凱旋門がローマ帝国文化を象徴する建造物であることは変わりません。
その影響は大きく、パリの観光地として有名なエトワール凱旋門も、実はこのコンスタンティヌスの凱旋門をモデルとして造られているほどです。

【サン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂】

Basilica di San Giovanni in Laterano

サン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂(Basilica di San Giovanni in Laterano)は、カトリック教会の大聖堂で、五大バシリカに数えられています。
4世紀はじめに、コンスタンティヌス帝によって建築されたこの大聖堂は、本格的なキリスト教聖堂としては世界初のものとなります。

こちらはローマの市内にありながら、バチカンの特別な権利が認められている場所です。それだけキリスト教にとって重要な聖堂だということですね。

【サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂】

Basilica di San Paolo Fuori le Mura

サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂(Basilica di San Paolo Fuori le Mura)は、コンスタンティヌス帝によって聖パウロを祀るために造られた聖堂です。

当初は小規模な聖堂でしたが、その後改修がおこなわれて、奥行き131メートル、幅65メートル、高さ30メートルという立派な大聖堂となりました。今では五大バシリカのひとつにも数えられています。
19世紀に一度火災で全壊したものの、20世紀に再建されて現在にいたります。

なお、この聖堂の名前は直訳すると「城壁外の聖パウロ大聖堂」という意味です。その名前のとおり、ローマ歴史地区の城壁から2キロメートルも離れた場所にこの聖堂は位置しているのです。
世界遺産としての登録物件名において、この大聖堂だけが個別に含まれているのは、教皇領からはずれた場所に存在しているからだということがわかるでしょう。

【カラカラ浴場】

Terme di Caracalla2

カラカラ浴場(Terme di Caracalla)は、3世紀にカラカラ帝によって建設された公衆浴場です。

しかし公衆浴場といっても、現代人が想像するものとはまったく規模が違います。4万平方メートルという敷地内にはなんと2,000~3,000もの浴槽があり、さらには今でいうサウナやジム、図書館なども設置されていました。

古代ローマにおける浴場は、ただ体をきれいにするためだけの場所ではなく、一大レジャー施設だったのです。

ローマ歴史地区へのアクセス

現在も有数の都市であるローマですから、アクセスは非常に便利です。
イタリア最大の空港であるフィウミチーノ空港(Fiumicino Airport 別名:レオナルド・ダ・ヴィンチ国際空港 Rome Leonardo da Vince International Airport)から入国すれば、そこからローマ市内までは自動車で30分程度で到着することができます。

 

放浪者の圧倒的な世界観

10年間で7千万人が読んだ日記



放浪者~Noeの日記は「こちら

Category: 世界遺産
Tags: