大自然とイルカとクラゲに癒される~パラオ(Palau)/パラオ
日本の関西地方から真南に3,000kmほど行ったところにある南の島の集合体、それが「パラオ共和国」だ。
海外行先としてあげられることは多くないが、美しいビーチとジャングルでできた自然豊かなその国は、グアムよりも少し遠くオーストラリアよりも近い、時差のない、そして日本人観光客にあまり会わない観光地として、ひそかに人気となっている。
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パラオと日本
過去の30年近い日本による統治の影響で、高齢者の中には日本語を話す住民が多く、現在でも日系人が全体の25%程度を占めているという。
世界大戦中の激戦地の一つでもあったため、反日意識がゼロとはいえないが、親日的な国の一つであり、現在もパラオ文化の中に当時の日本文化が残っているのを感じることができる。特に言語には日本語がかなり浸透していておもしろい。
バベルダオブ島(Babeldaob)
2005年に首都が移転してきたことで、開発が進むのではないかと期待されている島だ。パラオ諸島の中でもっとも大きな島であり、そのほとんどがジャングルに埋もれていることから、未発見の文化や自然がたくさん残されている可能性がある。
パラオ諸島を構成する小さな島々のほとんどが隆起した珊瑚礁でできているのに対し、バベルダオブ島は火山。パラオ最高峰ゲルチェレチュース火山を中心に緑豊かで変化のある地形を作りだしている。
ストーン・モノリスとストーン・フェイス
バベルダオブ島の北部は、比較的観光化が進んでいる。その中にある巨石遺跡「ストーン・モノリス」は、「いつ・誰が・何のために」作ったものなのか謎のミステリー度抜群の遺跡だ。
人の顔のように目や鼻を持つ岩があり、これは「ストーン・フェイス」と呼ばれている。ほかにも、石棺のようだったり、ストーン・ヘンジ風に立ち並んでいたりと、興味をそそる石たちが残されている。
ジャングルトレッキングとガラツマオの滝
バベルダオブ島では、その地形と自然を生かしたジャングル内の川を船でクルージングするツアーや、カヌーや足でトレッキングするツアーなどが秘境探検気分を盛り上げてくれる。
鬱蒼と茂る森の中まったりと流れる川、ヤラセでも作り物でもない本物のワニや南国の鳥たちとの出会いを満喫できる。
「ガラツマオの滝」は、そんなジャングル内に位置するため、往復1時間半程度のトレッキングが必須。熱気と湿気の中を歩くのは体力を消耗するが、パラオ最大の滝が発するマイナスイオンを全身に浴びれば、あっという間に回復しそうだ。
瀑布ではなく、苔とシダが生い茂る岩場に水の幕がかかっているような美しい滝。滝の真下にも裏側にも入って、いろいろな角度から美しさと心地よさを味わいたい。
ロックアイランド・ホッピング
パラオ諸島を構成する「ロックアイランド」は、その土壌に浸食されやすい石灰岩を多く含むため、波で浸食されていくうち丸く削られていく。そうして出来上がった姿から、「マッシュルーム・アイランド」とも呼ばれることがある。
無人島を含めて大小200もの島が点在するパラオの「ロックアイランド」の一部は世界遺産にも登録されている。
カヤックやボートを使ってのアイランド・ホッピングツアーでは、特色あるビーチや岩礁でのシュノーケリングやダイビングを中心としたマリンアクティビティのハシゴを楽しめる。
ミルキーウェイ
数多いロックアイランドの中でも女性に一番人気の場所が「ミルキーウェイ」。変わった名前だが、その名の通り乳白色の温泉のような色合いをしたビーチだ。
海底に石灰石の粒子が沈殿しているため、海の色は淡い水色、海底を足で掘れば真っ白な水へと変化する。心なしか海水も温泉のように柔らかく感じられる。
この石灰の泥を全身に塗る天然ミルキーウェイ・スパは、この場所を訪れたら必ず試したい。ツルツルスベスベのお肌が手に入る。
ジェリー・フィッシュ・レイク
ロックアイランドの周囲には、地殻変動の影響で生まれた塩水湖がある。
不思議なことにそれぞれの塩水湖にはある種の生物が大量に発生する傾向があり、クラゲが大発生しているのが「ジェリー・フィッシュ・レイク」だ。
ホワンホワンと浮かぶように泳ぐ毒性の弱い小柄なクラゲに囲まれていると、気分はほとんどメルヘン。
ドルフィンズ・パシフィック
世界各地にあるイルカの保護とイルカを通じた環境教育の施設の数々は人気の観光地となっていることが多い。パラオにある「ドルフィンズ・パシフィック」もまたそんな施設の一つであり、世界一の規模を誇る施設でイルカと触れ合うことができる。
「エンクロ-ズエンカウンター」コースで施設の案内を受け、イルカの生態の基礎を学んだなら、イルカと一緒にシュノーケリングやダイビングを楽しむコースにも参加可能。イルカトレーナー体験コースもあり、1日中イルカと触れ合いながら過ごすことができる。
コロール・ダウンタウン(Koror)
旧首都がおかれていた島コロールは、現在も観光の拠点となっている。
パラオ住民の7割が暮らしている都市であり、観光客が泊まるホテルやレストランなどもコロールに集中している。現地発着のツアーもコロール集合・解散のものが多い。
離島にもコテージタイプのホテルが増えているが、繁華街があるのもコロールのダウンタウンだけなので、お土産や食事、お酒などを楽しむならコロールがおすすめ。
コロール周辺のビーチも十分に美しく、自然が作りだした「ナチュラルアーチ」などの見どころもある。
博物館めぐり
また、コロールの見どころとして、各種博物館も見逃せない。
パラオの国立博物館である「ナショナル博物館」には、パラオ原住民~スペイン~ドイツ~日本~独立に至ったパラオの歴史資料が展示されている。日本人としては、日本統治下でパラオに日本式の文化が多く持ち込まれ、現在も残されているという事実に驚かされる。
「エピソン博物館」は、パラオ独自の文化を後世に伝えることを目的とする博物館。ヤップ島のストーンマネーの掘り出し現場の様子、古代パラオのお金、土器、ストーリーボードなどが展示されている。これらのパラオの古い文化は完全に解明されないうちに、どれも急速に失われていく恐れがあるといわれている。エピソン博物館はミュージアムショップのグッズがとても個性的なので、お土産におすすめだ。
「国際サンゴ礁センター」では、環境の変化で絶滅の危機にさらされている珊瑚の保護活動の様子や、色とりどりの珊瑚の展示で楽しめる。
ペリリュー島(Peleliu)
美しい自然のあちらこちらに戦争の傷跡も残しているパラオ。特に太平洋戦争で激戦地となったペリリュー島には、慰霊碑だけでなく、赤く錆びた戦車や砲台が残されている。
近くの浅瀬にはゼロ戦闘機が今も白い海底に半分沈んだ状態で残っていて、シュノーケリングやダイビングのスポットともなっている。
あまり開発の手が入っていない島であり、野趣のあるビーチでのフリータイムと歴史的遺跡巡りを組み合わせた半日から1日のツアーが多い。
最後に
パラオは観光収入に大きく頼っている国だ。しかし、日本からの一般観光客数はそれほど増えていない。
完璧なほど美しいビーチがあり、歴史的見どころがあり、おいしいシーフードも食べられるが、アクセスが今一つ。また、大手のリゾートによる開発が途上状態なのも、知名度がいま一つとなっている理由かもしれない。だからこそ味わえるのが、手つかずの自然や温かいもてなしだろう。
ロックアイランドの一部が世界遺産に登録されたことや、首都移転に伴い観光開発に力を入れていること、そして日本語があちこちで通じるという嬉しいオプションもあり、今後日本人も含めた多く観光客が押し寄せそうだ。
そこを訪れた人しか感じることのできない感動を、写真、動画、そして言葉で表現してみませんか?あなたの旅の話を聞かせてください。
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